プロがボーカルの悩みを解決します Q94:たまたま見つけてきました。
私は歌を何年も歌い続けてきましたが1年以上声の調子が悪いのです。
というのも、中音域が出ない。伸びない。途切れる喉が締め付けられる。という感じです。
喉で息をカットしているイメージです。
どうしたら昔のように通る声が出せるのかと日々悩んでいます。
よろしければアドバイスお願いします。(女性・年齢不明)

こんにちは。1年以上調子が悪いということですが、それだけ長いと歌い方(呼吸・発声)に問題がある可能性が高いですね。

中域が出ない、声の伸びがない、喉が締め付けられるという状態から想像するに、おそらく喉を使って声を出してしまっている可能性が高いです。

発声というのは、肺にある空気を喉に通して声帯を震動させて出すものです。この「喉に通す」というのがポイントで、あくまで発声の起点は「息」であり、喉は「通過点」でしかありません。

笛を想像してみて下さい。笛は、息を通して音が出ますよね。笛自体が音を鳴らしているわけではないのです。人間の息が、笛の中の空間で音を響かせて音色を作り、穴の数で音程を作るに過ぎません。

声も基本はまったく同じです。空気をコントロールして、声帯という「楽器」を鳴らすというイメージが大事なのです。思うように声が出せない人のほとんどは、喉で歌ってしまっていている、いわゆる「喉声」です。

喉を使うということは、喉に力が入ります。喉に力が入ると喉が締めつけられて、喉の空間が狭くなります。笛と同じように、声も喉という空間で音を響かせて、豊かな声質を作るのですが、狭くなってしまうと響きが作れません。

仮に柔らかい笛があったとして、それをギューっと手で握りつぶして吹いているようなものです。握り潰してしまうと空洞がなくなって響きが出ませんよね。

要するに、喉声だと、
・響きがないので中音域が出ずに、キンキンして詰まったような細い声しか出ない。
・お腹ではなく喉で息をコントロールしてしまうので、息の量が足りずに途切れる。
・喉が力んでいるので、喉が締め付けられてすぐに苦しくなる(痛くなる)。

喉声を直すには、喉ではなくお腹から声を出すための練習が必要になります。

喉を使ってしまう一番の原因は、体幹(腹筋・背筋)で息を使えていないことです。体幹で息(横隔膜)をコントロール出来ていれば、喉を使わずとも息を安定させられます。しかし腹式呼吸が不十分で体幹が使えていないと、仕方なく喉を使うしかないのです。

多くの人は、意識的に喉を使っているというよりも、使わざるを得ない呼吸をしているというのが正しいと思います。

ですので、まずは正しい腹式呼吸をしっかりマスターすることが一番の方法です。腹式呼吸が正しく出来ていれば、横隔膜が十分に押し下がって体幹が使えるようになります。体幹で息を支えられれば、喉は常にリラックスした状態に出来ます。

喉がリラックスすれば、喉の空間を広く保つことが出来て、より大きな響きを作れます。その結果、太くて伸びやかで声量のある声を出すことが出来るのです。腹式呼吸なら、肺が縦に大きく広がるので、大量の息を使うことが出来るので、長いフレーズも余裕を持って歌うことが出来るようになります。

正しい腹式呼吸が出来ているかどうかを、もう一度確認してみて下さい。呼吸が変わるだけで、今の問題点の多くは解決するはずです。

以上、頂いた文面からの想像になりますので、あくまで一般論になります。出来れば一度、信頼出来るプロのボイストレーナーに見てもらうことをお勧めします。

長くなりましたが、参考になれば幸いです。以前の歌声を取り戻せることをお祈りしています。ありがとうございました。


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